二重埋没法の糸が取れた?やり直し回数の目安と切開への切り替え判断を美容外科医が解説
カウンセリングで「他院で受けた埋没法の糸が取れてしまったんですが、また受けられますか?」というご相談は、週に何件もあります。やり直し関連の相談は全体の2〜3割くらいを占めている感覚です。
中には「3回やり直したけどまた取れた」「保証があるはずなのに使えなかった」という方もいて、話を聞いているとクリニック側の問題が見えてくることも少なくありません。
この記事では、埋没法の糸が取れた場合に**「自分はどうすべきか」を判断できる基準**をお伝えします。やり直すのか、切開に切り替えるのか、そもそも本当に取れているのか。私の臨床経験をもとに、できるだけ具体的にお話しします。
この記事でわかること
まず確認――本当に「取れた」のか?
「糸が取れた気がする」と来院される方のうち、実際に診察してみると1〜2割は取れていないというのが私の実感です。
よくあるのが、「二重幅が狭くなった気がする」というパターン。埋没法は術後1〜3ヶ月くらいかけて腫れが引いて幅が落ち着いていくので、手術直後の幅がそのまま完成形ではありません。「思っていたより狭くなった=取れた」と思ってしまう方もいますが、これは正常な経過であることも多いです。
もう一つ多いのが、「作った二重のラインの下に、もう一本線が出てきた」というケースです。これも取れたとは限りません。ただし、作った線より広い位置にラインが出てきた場合は、それは取れている可能性が高いです。下にラインが出てくるのは、腫れが引いたり強い埋没の食い込みが落ち着いたりして、もともとあった線が見えるようになっているだけなので問題ありません。埋没で作った線より上にラインがつくのは緩んでいる証拠です。眼瞼下垂があって窪むタイプの方は、疲れてくるとどうしてもラインが薄くなることがあります。
寝起きの浮腫んでいる時だけラインが薄くて、それ以外の時間は普通というパターンは難しいところです。一時的なもので頻度が増えないなら一旦様子見で大丈夫ですが、気になるレベルで続いたり頻度が増えてくると取れかけの可能性があるので、早めに相談に行くのが良いです。
本当に取れているかどうかの目安はこうです。
- 完全に一重に戻るタイミングがある
- 左右で明らかにラインの深さが違う(片方だけ消えかけている)
- 作った二重の線より広いラインが出てきた
- 二重幅が安定せずに広くなったり狭くなったり繰り返している
埋没法が取れる原因と、取れやすい術式の話

埋没法が取れる原因は大きく分けて4つあります。
1. まぶたの厚み・脂肪量 まぶたが厚くて脂肪が多い方は、糸にかかる負荷が大きいので取れやすい傾向があります。こういう方に無理に埋没法を繰り返すよりも、早い段階で切開法を検討した方がいいこともあります。
2. 二重幅の設定 幅を広く取るほど、糸にかかるテンションは強くなります。無理して広めに設定した方は、やはり取れやすい傾向にあります。シミュレーションの時点で無理しているかどうかはすぐ分かるので、カウンセリングで確認していただければと思います。
3. 目をこする習慣 花粉症やアトピーでまぶたをこする習慣がある方は、やはり取れやすいです。まぶたを擦りまくる方は物理的に糸に負荷がかかります。コンタクトレンズの着脱も地味に影響します。特にハードコンタクトは眼瞼下垂の原因にもなるので良くないです。
4. 術式と技術の問題 ここが一番大事な話なのですが、術式によって取れやすさはかなり違います。
私の考えとして、点留めにはメリットがないと思っています。点留めは取れやすく、わざわざ点留めで施術するメリットが患者さんにないからです。当院では線留めしかやっていません。裏留めの方が目を閉じた時の綺麗さだけでなく持ちもいいと考えているので、裏留め・線留めが当院の標準です。糸3本のトリプルが一番取れにくいので、埋没法のやり直し上限回数を考えると、最初からトリプルで受けるのが一番いいと思います。もちろんダブルでもやり直しは可能です。
他院で受けた方の再手術をしていると、安価なプランで多い表留め・点留めの2点留めで受けているケースが多く見られます。固定力としてはどうしても弱いです。こういった術式の選択が取れやすさに直結していると感じています。
やり直しは何回まで?私の判断基準
「何回までやり直せますか?」と聞かれたら、一生で3回までとお答えしています。
ただし、これは一律に「3回やったら次は切開」という意味ではありません。まぶたの状態次第です。
私が判断するときに見ているポイントは以下の通りです。
- まぶたの皮膚が伸びていないか
- 過去の糸によるしこりやボコつきがないか
- まぶたの厚みや脂肪量はどうか
- 希望する二重幅は現実的か
- 眼瞼下垂の傾向がないか
1〜2回のやり直しでまぶたの状態が良好であれば、次の埋没法も十分選択肢になります。逆に、1回目でも眼瞼下垂が強かったり、まぶたが明らかに厚い方には、最初から切開法をおすすめすることもあります。
**回数だけで判断するのではなく、まぶたの状態を見て判断する。**これが私の方針です。
まぶたのダメージを考慮すると、埋没法は一生で3回までにしておいた方がいいです。それ以上になると、さすがにまぶたへの負担が大きくなります。実際に全切開で埋没歴が多い方を担当した際、まぶたの中が癒着して汚くなっていることが多いです。そうでもない方もいますが、回数を繰り返しているとやはり内部にダメージが蓄積していきます。ボコつきのリスクも上がりますし、将来的に切開が必要になった場合の難易度も上がります。だからこそ、早い段階で「このまま埋没を続けるべきか、切開に切り替えるべきか」を一度しっかり考えていただきたいんです。
抜糸が必要な場合・不要な場合の見分け方

やり直しの際に「前の糸は取る必要がありますか?」と聞かれることも多いです。判断基準はシンプルなので、以下を参考にしてみてください。
抜糸が必要なケース
- 幅を狭くしたい場合:今の糸を残したまま幅を狭くすることはできません。必ず抜糸が必要です。取れていてラインが薄かったら抜糸しなくても大丈夫です。
- 糸玉が気になる場合:過去に埋没歴がありボコつきが出ている場合は、糸玉を取ると閉じた時が綺麗です。無理に取らなくてもいいですが、もし気になるなら取りましょう。
- 食い込みが強すぎたりラインが滑らかでない場合:この場合は広げるにしても邪魔になることがあるので取ることがあります。
抜糸不要なケース
- 同じラインで留め直す場合:糸が取れて二重が消えた場合、同じ位置で再度留めるなら抜糸は不要です。
- 幅を広げたい場合:今より上に新しいラインを作るのであれば、ほとんどの場合前の糸はそのまま残して問題ありません。基本的に同じくらいの食い込みなら広い方のラインが優先されます。
一つ注意しておきたいのは、狭くする場合には、抜糸と再施術は同日にやらない方がいいということです。抜糸後は多少まぶたが腫れるので、腫れた状態でシミュレーションしても正確な仕上がり予測ができません。そして抜糸前だと元々のラインが邪魔できちんとシミュレーションができません。焦る気持ちはよくわかりますが、抜糸後最低でも1週間、できれば2週間以上空けてから再施術するのが理想です。
抜糸について一つお伝えしておくと、私は抜糸が得意な方です。他の先生が取れなくて呼ばれて取ったこともありますし、自分がオペした方で抜糸できなかったことはありません。ただし、何十年も前の表留め・点留めの糸は組織に埋もれてしまって取れなかった経験があります。取るのが難しそうであれば事前にお伝えしていますが、そのような場合は全切開で対応するしかないという判断になります。
切開法に切り替えるべきタイミング
「切開はちょっと怖い」という方は多いです。でも、埋没法を何度も繰り返すことの方が、長い目で見るとまぶたへの負担は大きくなることがあります。
私が切開法への切り替えを提案するのは、こういうケースです。
- 埋没法を2〜3回やり直しても半年〜1年で取れてしまう
- 埋没法では希望のデザインが実現できない
- まぶたのたるみも同時に改善したい
- 眼瞼下垂が強めで、埋没法ではラインがつかない/薄い
切開法はダウンタイムが長い(完成まで3〜6ヶ月)というデメリットはありますが、一度完成すれば半永久的な持続が期待できます。
費用面で考えると、埋没法を3回受けるのと全切開1回では、トータルでは大差ないか、場合によっては切開の方が安く済むこともあります。埋没を繰り返す時間と精神的な負担も考えると、早めに切り替えた方が結果的に満足度が高いこともあります。
切開への切り替えを提案すると、「腫れませんか?」「不自然にならないですか?」と不安に思われる方がほとんどです。不自然になるかどうかは中の処理の仕方やデザインによります。腫れに関しては仕方ない部分がありますので、お仕事の休みが取れるタイミングを見て受けていただくのが現実的です。
**ただし、切開法は修正が難しい。**ここは正直に言っておきます。埋没法なら気に入らなければ抜糸してやり直せますが、切開法はそうはいきません。だからこそ、切開法に切り替える場合は、医師選びがより重要になります。
ちなみに、よく幅広は取れやすいから切開の方がいいと言われていたりしますが、そんなことはありません。切開で広すぎる幅にしてしまうと余計に不自然になりやすい上に、修正するのが非常に大変です。切開なら絶対取れないというわけでもありません。いっそ不自然なくらいに幅広にしたい方は、埋没の方がやり直しが効く分まだいいかなと個人的には思います。そもそも自然な幅でやるのが一番ではありますが。
| 比較項目 | 埋没法(やり直し) | 切開法 |
| ダウンタイム | 1週間前後 | 1〜3ヶ月(完成まで3〜6ヶ月) |
| 持続期間 | 数年〜(取れる可能性あり) | 半永久的 |
| まぶたへの負担 | 回数を重ねると増大 | 1回で完結 |
| 修正のしやすさ | 比較的容易 | 難しい |
| 費用(1回あたり) | 比較的リーズナブル | やや高め |
保証制度の落とし穴――使えない保証に注意
埋没法には保証がついていることが多いですが、保証があるから安心とは限りません。
実際にカウンセリングで「保証期間内なのにやり直してもらえなかった」という相談を受けることがあります。話を聞いてみると、以下のようなパターンが見えてきます。
- 定期検診に来ていないから保証対象外と言われた
- 「完全に一重に戻っていないから保証の範囲ではない」と断られた
- デザイン変更は保証外で、ラインが薄くなっただけでは対応してもらえなかった
- 保証を使おうとしたら、保証適用の施術は経験の浅い別の医師が担当だと言われた
特に「完全にラインが消えていないから対象外」というケースは悪質です。そもそも埋没法では取れても完全にラインが消えることの方が少なく、ラインが薄くなるパターンが一番多いです。それを理由に保証対象外にされたら、実質的に保証は使えないのと同じです。
保証の再施術を新人に任せるようなクリニックも含めて、保証制度自体がマーケティングのためのものになっているところも少なくありません。
保証は「何年間か」よりも「何が対象か」「誰が担当するか」を確認することが大切です。 契約前に保証の適用条件を書面で確認しておくことを強くおすすめします。
当院では、保証期間内であれば同じ医師(私)が対応しますし、ラインが明らかに薄くなっている場合は保証の範囲で対応することとしています。
保証制度の詳細は施術によって異なりますので、カウンセリング時にきちんと説明を聞くようにしてください。
他院修正で私が気をつけていること

他院で埋没法を受けてやり直しを希望される方の施術は、初回の埋没法より中の癒着によって少し腫れやすい印象があります。あとは手術中に瞼が引っ張られる感覚が強めに出やすいです。とはいえ仕上がりに影響することは基本的にほぼありません。
他院修正だからといって埋没の場合は特に手間は変わらないので特別な追加料金はいただいていません。通常の埋没法と同じ料金で対応しています。ただし、抜糸が必要な場合は抜糸費用が別途かかります。
埋没で修正料金は普通はかからないところがほとんどだと思うので、逆に修正料金を提示されたら一度持ち帰って検討するのが良いと思います。クマ治療や切開系の治療で修正となるとやはり大変なので修正料金がかかるのが普通です。
やり直しのタイミングと注意点
「取れたかもしれない」と気づいたとき、すぐにでもやり直したいという気持ちはよくわかります。ただ、タイミングを間違えると仕上がりに影響が出てしまいます。
施術後1ヶ月以内 まだ腫れが残っている時期です。この段階で「幅が広すぎる」「左右差がある」と感じても、腫れが引けば落ち着くことが多いです。焦ってやり直すのはおすすめしません。
施術後1〜3ヶ月 腫れがほぼ引いて、二重ラインの仕上がりが見えてくる時期です。この時点で明らかにラインが薄い、左右差が大きい、幅が気に入らないという場合は、再施術を検討してもいいタイミングです。
施術後3ヶ月以降 完全に落ち着いた状態なので、やり直しの判断がしやすくなります。切開の場合は半年くらい経って内部の状態が落ち着いてから修正を検討する方が良いです。
やり直し時に気をつけてほしいこと
- 焦って当日施術を決めない。シミュレーションをしっかり確認する
- 前回と同じ術式で取れた場合は、同じやり方で再施術しても同じ結果になる可能性がある。ただ必ずしも同じ持ちになるかはやってみないとわからない。
- 前のクリニックに不信感がある場合は、別のクリニックでセカンドオピニオンを受けるのも有効
よくある質問
Q1. 埋没法の糸は将来的にまぶたの中に残り続けて問題はないですか?
医療用の糸なので、まぶたの中に残っていても基本的に健康上の問題はありません。時間が経つと体内で吸収される糸(溶ける糸)を使っているクリニックもありますが、当院で使用している糸はアスフレックスという分解されづらく長期間安定しやすい糸です。心臓の手術などでも使われている糸です。溶けない糸の方が固定力の持続性が高いため、私はこちらを採用しています。しかも時間が経って溶けてくる安定性の低い糸の場合、抜糸したくなった時の難易度も高くなりますので、基本的にしっかり残る糸の方が埋没法の場合は適していると考えています。
Q2. 抜糸だけを受けて、二重を元に戻すことはできますか?
はい、可能です。「埋没法を受けたけど、やっぱり元の目に戻したい」という方もかなり稀ですがいらっしゃいます。糸を除去すれば、基本的には元のまぶたに戻ります。ただし、施術から長期間経過している場合、糸を取っても癖がついてうっすらラインが残ることがあります。数ヶ月程度の差であればほとんど誤差ですので、抜糸をもし検討されるにしてもダウンタイムがしっかり落ち着いてからがおすすめです。
Q3. 何十年も前に受けた埋没法の糸は抜けますか?
これは正直、やってみないとわからない部分があります。取りやすそうかどうかは術前に見ればわかるのですが、稀にしこりになっているだけで糸玉が見つからないことがあります。特に何十年も前の点留めの糸は、組織に埋もれてしまって見つけられないことがあります。私の経験でも、古い点留めの糸が取れなかったケースはあります。その場合は、抜糸は諦めて全切開で対応する方針になります。事前にその可能性はお伝えした上で処置に入りますので、まずは診察で状態を見せてください。
Q4. 片目だけ取れた場合、片目だけやり直すとバランスが崩れませんか?
もう片側がくっきりしているなら片目だけのやり直しで全く問題ありません。もう片方も今後取れる可能性を考えると、という考えもありますが、取れていないのにやり直すのはもったいないかなと思います。少し薄くなってきているようであれば両方やっておいた方がいいですね。このあたりは実際にまぶたを見てから判断するのが一番確実なので、カウンセリングで左右の状態を見せていただければと思います。
Q5. 「永久保証」と書いてあるクリニックは信用できますか?
永久保証自体が悪いとは言いません。ただし、保証の「中身」は必ず確認してください。永久保証と謳っていても、適用条件が厳しすぎて実質使えないケースがあります。保証期間が「永久」でも、保証対象が「完全に一重に戻った場合のみ」だと、ラインが薄くなっただけでは対応してもらえません。埋没法はラインが薄くなるパターンの方がはるかに多いのに、完全に消えた場合だけ対象というのは実質的に保証として機能していません。保証の条件をよくよく確認していただき、納得した上で契約することが大切です。保証に関するコラムも参考にしてください。

まとめ
埋没法の糸が取れたとき、一番大事なのは焦らないことです。
本当に取れているのか、まずは診察で確認する。取れていた場合は、まぶたの状態を見て、やり直しがいいのか切開法に切り替えるべきかを判断する。
私としてお伝えしたいのは、やり直しの回数には上限があるということです。まぶたは消耗品ではありませんが、何度も糸を入れ替えれば負担は蓄積していきます。だからこそ、やり直しの場合は特に、どんなやり方でやるか、誰にやってもらうかをよく考えていただきたいです。
リスク・副作用について
二重埋没法には、腫れ・内出血・痛み・感染・左右差・糸の露出・仕上がりへの不満などのリスク・副作用が生じる可能性があります。やり直しの場合、初回施術よりもまぶたへの負担が大きくなることがあります。気になる症状がある場合は、速やかに担当医にご相談ください。
自由診療に関する必須記載事項
- 施術名: 二重埋没法/ 全切開二重術
- 施術内容: 医療用の糸を使用し、まぶたを留めて二重のラインを形成する施術です。やり直しの場合、抜糸を行ってからの再施術、または抜糸なしでの再施術のいずれかの方法で行います。切開法は皮膚を切開して二重ラインを形成する施術です。
- 費用(税込): アイリスループダブル(裏留め・線留め・糸2本)両目 ¥220,000(モニター ¥180,000)/ アイリスループトリプル(裏留め・線留め・糸3本)両目 ¥300,000(モニター ¥250,000)/ 抜糸 1本 ¥20,000(当院で埋没法も行う場合は半額)/ 全切開二重術 ¥380,000(部分モニター ¥320,000)
- リスク・副作用: 腫れ(数日〜1週間程度)、内出血(1〜2週間程度で消失)、痛み、左右差、感染、糸の露出、アレルギー反応、稀に角膜損傷の可能性。やり直しの場合、初回よりもまぶたへの負担が大きくなることがあります。切開法の場合、傷跡が残る可能性、完成まで3〜6ヶ月程度かかります。
- 施術時間の目安: 埋没法 約20分(抜糸含む場合はそれ以上)/ 切開法 約60分
